痛風?外反母趾?

強剛母趾(きょうごう ぼし)という病名は、あまり聞きなれないと思います。発作的に足の親指が痛くなるため、症状だけを伝えると痛風と診断されることがとても多いです。強剛母趾は 外反母趾と同じような、足の骨格的な異常・ゆがみが原因で発症しますが、外反母趾は母趾が変形しているため関節内部へのダメージは起こりません。しかし強剛母趾の場合、変形は大きくありませんが関節内部へのダメージが強く、進行すると母趾の関節の間の軟骨がすり減って、 次第に骨同士がこすり 合わされるようになってきます。関節の骨がくっついてしまうと、歩くときに親指の付け根で踏み返すことができなく なり、足本来の機能を取り戻すためには手術が必要となる場合もあり ます。                                     軽症な方の治療の基本は外反母趾同様、医療用インソール(足底装具)による全体構造の補正と、歩行機能訓練が中心となります。

2023.1 地元新聞掲載                                              執筆者.日本整形外科学会 整形外科専門医  理事長 石井 聡大